トップページへ | Brugada(27)へ | Brugada(25)へ |
我が国におけるBrugada症候群の予後に関する研究と治療方針(鎌倉)
今までにBrugadaら、およびPrioriらの本症候群の予後に関する研究を紹介してきました。それでは、我が国における本症候群の予後に関する研究成績はどうでしょうか?
新 博次:Brugada症候群の予後.Heart View7:931,2003) |
Atarashiらは、Brugada型心電図を示す105例を、有症候群(38例)と無症候群(67例)の2群に分け、3年間にわたる心事故の無発症率の前向き調査を実施し、前者では67.6%、後者では93.4%との成績を示しています。無症候群での3年間における心事故出現率6.6%という頻度は、Prioriら、Brugadaらの成績と大体一致しています。従って、今後はBrugada型心電図 (coved型)を示し、病歴に失神・心室細動などの心事故を起こしたことがない例をどのように治療するかということが非常に大切な臨床的課題になると思います。
下図は国立循環器病センターの鎌倉史郎先生が提示した現時点(2003年)における本症の治療指針です。この指針でも、心電図がsaddle-back型を示す無症候例の治療方針は未だ明らかにされていません。
Brugada症候群の治療指針(鎌倉史郎:心臓35(6):465,2003) |
そのため、世界各国で、なお、Brugada症候群における心事故出現を予測できる危険因子の検討が多く行われています。