Brugada型心電図の鑑別診断
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Brugada症候群およびBrugada型心電図について欧州心臓病学会が新しい診断基準を提唱し、廣く世界的に認められつつあることについては先に述べました(コンセンサス・リポート、2002)。しかし、Brugada症候群と診断する際、単に心電図がコンセンサス・リポートの基準を満たすのみでは不十分で、右側胸部誘導でST上昇を起こす下記の諸病態を除外することが必要であることも同時に指摘しています。
不整脈源性右室心筋症とBrugada症候群との鑑別診断 | ||
項目 | 不整脈原性右室心筋症 | Brugada症候群 |
年齢(歳) | 25〜35 | 35〜40 |
男:女 | 3:1 | 8:1 |
分布 | 世界各地 | 世界各地 |
遺伝 | 常染色体性優性 | 常染色体性優性 |
染色体 | 1,2,3,10,14,(17) | 3 |
遺伝子 | hRYKR2、 plakoglobin | SCVN5Aなど |
症状 | 動悸、失神、心停止 | 失神、心停止 |
発作環境 | 労作 | 安静 |
画像診断 | 形態・機能的右室(左室)異常 | 正常 |
病理 | 線維脂肪置換 | 正常 |
心電図(再分極) | 前胸部誘導の陰性T波 | V1-3のSTのhigh take off |
心電図(脱分極) | epsilon-waves, QRS間隔延長 |
右脚ブロック、左軸偏位 |
房室伝導 | 正常 | 50%異常(PR/HV) |
心電図変動 | 固定性(ほとんど) | 変動性 |
β刺激 | ↑ | ↓ |
自然歴 | 突然死、心不全 | 突然死 |
心房性不整脈 | late(二次性) | 早期(一次性、10-25%) |
心室性不整脈 | 単源性VT/VF | 多源性VT/VF |
不整脈の機序 | 瘢痕に関係 | Phase 2 に関係 |
クラス1抗不整脈薬 | ↓ | ↑ |
クラス2抗不整脈薬 | ↓ | ↑ |
クラス3抗不整脈薬 | ↓ | -/↑ |
クラス4抗不整脈薬 | -/↓ | − |
しかしながら、Brugada症候群症例で右室流出路に器質的病変によると思われる所見を認めたとする報告や、不整脈源性右室心筋症例で薬物負荷でBrugada型心電図を示した例などの報告もあり、両疾患の間には密接な関連がある例があります。