小児急死例が多発した家系の検討
(Brugada 症候群の可能性)

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Pryoriら(2000)は、1家系に5例の小児急死例が認められた1家系において、生後14カ月の女児が意識喪失発作で救急入院し、蘇生後の経過観察中にcoved型のBrugada型心電図を認めた例を報告している。

症例:14カ月、女児
主訴:意識喪失発作
病歴:意識喪失発作で救急入院したため、心電図を記録し、心室細動を確認した。直流除細動により洞調律に復帰したが、心停止後脳障害を残した。その後、ICUで経過を観察していた際,coved typeのBrugada
型心電図の出現を認めた。その際、QT間隔は正常であった。
循環器学的基礎疾患は全く認められない。
家族歴:妹2人が3歳時に急死し、SIDSと診断されている。他の2名の弟も急死している。

下図は、本例の属する家系の家系図である。矢印が本例である。

5例の小児急死例が見られた1家系の家系図
Pryori SG et al:Lancet 355::808,2000

下図は、心室細動発作を直流除細動により洞調律化した後、ICUで経過観察中にみられたcoved typeのBrugada型心電図である。

SIDS多発家系の急死例に見られたBrugada型心電図
Pryori SG et al:Lancet 355::808,2000

このような症例の存在は、SIDSと診断される症例の中には、Brugada症候群に属する例が存在する可能性があることを示している。

 Brugadaらは、Brugada症候群の年齢分布については、最も若年の発症例は二カ月であったことを報告しており、1歳未満の乳児急死例の中にはBrugada症候群症例が隠れている可能性は十分考えられる。

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