症例6 頻拍発作,右側胸部誘導R波増大を示した61歳女性 

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症例:61歳、女性
主訴:心悸亢進発作と心電図異常
前病歴:20年前に心電図異常があると言われたことがある。頻拍発作以外には呼吸器系および循環器系の疾患に罹患した病歴はない。
現病歴:10数年前から、年に1度くらいの頻度で心悸亢進発作が出現するようになったが、最近、発作回数が増加した。2週間前にも発作が起こり、近医でプロカインアミド1,000mgの静注を受けたが、軽快しないため急患として徳島大学第二内科を受診し、ベラパミル5mgの静注を受け、発作は直ちに停止した。洞リズム復帰後の心電図に右室肥大を疑わせる所見を認めたため、精査のため入院した。
現症:身長144cm、体重50kg,、胸郭変形なし。脈拍数 90/分、整、硬化(-)。呼吸18/分、胸腹型。心雑音(−)、呼吸音正常、腹部正常、心不全徴候(-)。
検査所見:尿、末梢血、血液化学所見:正常。肺機能、血液ガス:正常。
洞調律時の標準誘導心電図、胸部X線写真および頻脈発作時の心電図を下に示す


非発作時心電図 頻拍発作時心電図
標準誘導心電図:右側胸部
誘導のR波が高い。
頻脈時心電図:心拍数136/分の
narrow QRS tachycardaiaを示す。

 下図は本例の胸部X線写真である。

胸部X線写真
左第4弓の左方への突出

本例の問題点は次の2点である。
 1) 本例に見られた頻脈発作は何か? また、どのような治療を行うべきか?
 2) 非発作時心電図における右側胸部誘導のR波増大を右室肥大と考えて良いか?右室肥大でないとすると、どうのような病態を考えるべきか、また治療方針は?

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