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症例:63歳、男性
主訴:動悸、不整脈
前病歴:20歳時に左肺結核のため胸郭成形術を受けた。
現病歴:6月20日頃、風邪にかかり咳、痰が多かったが、予定していたために26日には友人とゴルフに行った。コースを回る途中で、咳が多く、かつ不整脈が出現して動悸を感じたためゴルフを中止して帰宅し、近医を受診して心電図検査を受けた。その心電図に異常を認め、公立病院循環器科を紹介され、「異型狭心症で、高度の冠動脈狭窄が考えられるため、入院して冠動脈造影を受けるように」との説明を受けた。そのため、本人は不安を感じ、second
opinionを求めて私どもの外来を受診した。
現症:身長 151cm, 体重 51kg, 脈拍数 80/分、整、硬化(-)、遅速(-)、血圧
130/76mmHg。甲状腺腫(−)。右胸郭成形術後の胸郭変形を認める。心音・呼吸音:正常、腹部正常、浮腫(-)。
主要検査所見:尿、末梢血:正常。血液化学:肝・腎機能は正常、総コレステロール
224mgb/dl, 中性脂肪 70mg/dl, HDLコレステロール
59mg/dl, LDLコレステロール 151mg/dl, 空腹時血糖111mg/dl。呼吸機能: %肺活量 74%, 1秒率 81%。
下図はゴルフを中止して帰宅後、直ちに近医を受診した際に記録した心電図で、最初の心電図(A)記録後、1分後(B)および3分後(C)の心電図も示す。Dは後日記録されたホルター心電図である。
A. 近医受診時の心電図 (10時23分) |
B.左図の1分後の記録 (10時24分) |
C:左図の4分後の記録 (10時28分) |
D:本例のホルター心電図(翌日の記録) |
本例の問題点は下記の諸点である。
1) A,B図のST−T部の変形はどのように考えるべきか?
2) 本例が訴えている動悸は何によって起こったか?
3) 本例のA〜Cの一連の心電図変化から、どのような病態が本例に生じているか?
4) 最終的には、本例にどのような臨床診断を下すべきであるか?