第5例 間欠的WPW症候群

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5例:34歳、男性
臨床的事項:何ら自覚症状はなく、たまたま会社の健康診断で下図に示す電図が記録された

間欠的WPW症候群の心電図

解説:
 この心電図には、一見して心室群波形に2種類あることが分かります。第6, 7, 10, 11番目の心室群とその他の心室群です。第6, 7, 10, 11番目の心室群は、他の心室群に比べてQRS間隔が狭く、QRS波の前に一定間隔(約0.2秒)で先行するP波を認めます。  

 他方、その他の心室群(第1〜5,8,9心拍)のQRS間隔は広く、QRS波の起始部に著明なスラーを認めます(これをデルタ波と呼びます)。そしてQRS波の直前に短いPR間隔でP波があります。すなわち、これらの心室群は、  
  1) PR間隔短縮、   
  2) QRS間隔延長、   
  3) デルタ波 の存在、
の3つのWPW症候群の特徴的所見を具備しています。  

 このようなWPW型心電図が間欠的に出現しており、間欠的WPW症候群と呼ばれます。つまり、副伝導路が開いたり、閉じたりしているわけです。このような例は発作性心頻拍を起こす危険は少ないと考えられており、一般的には治療の必要はありません。

心電図診断:
  1.間欠的WPW症候群
   2.第1度房室ブロック

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