トップ頁へ 森家レトロ

 昔も今も、火事は各家庭にとっては大きい災害でした。火事では予防が第1ですが、それでも万一、火災が発生した場合には、初期に消火することが最も重要であると思います。今では多くの家庭に化学消火器が備え付けられていますが、昔は井戸水が唯一の頼りでした。

 この井戸水をどのようんして効率よく出火場所に注ぐかが大切ですが、最も原始的な方法は多くの人々が並んで、水が入ったバケツを次々とリレーして火事場に運び、最も火事場に近い人が、そのバケツに入った水を炎に注ぐ方法です。しかし、これでは人手を多く必要とし、高いところに水を注いだり、遠くに水を放水することが出来ません。

 消防団組織では、腕用ポンプ(手押しポンプ)が使用されていましたが、これは機械も大きく、多くの人々が協力しなくてはなりませんでした。

 我が家にある足踏み式ポンプ消火器は、ポンプの足踏み係り(1名)、放水筒保持係(1人)および水補給係(数人)と比較的少数で効率的に放水することが出来、しかも足踏み式ですから、手押し式に比べて疲れ難く、効率的に放水できます。下図にその実物の写真を示します。

足踏み式消火器(森家保有)

 この足踏み式消火器の利点は、小形で、狭い路地にも搬入が容易なこと、価格が大型機械に比べて安価なことなどです。そのため、家庭用として用いられたばかりでなく、消防署が購入し、組織的に使用される場合もあったとのことです。すなわち、消防署が購入して、各消防団員の家に配置し、万一、火災が発生した場合は、各消防団員がこの消

 火器を自転車に乗せて出火現場に急行し、消火活動として最も重要な初期消火に威力を発揮したそうです。そのうち、このような機械が数台〜十数台集まると水力も強くなり、消火に威力を発揮します。そのうちに大型消火器が現場に到達して、任務を引き継ぐというように、初期消火から本格的消火まで、出火早期から絶え間なく効果的な消火活動を発揮できます。

 現在、森家にある足踏み式消火器は、100年ほど経った現在でも十分機能します。私自身、足踏みをしてみましたが、丁度自転車に乗っている感じで楽々と足踏み放水をすることが出来、非常に便利であることを痛感しました。

 この頁の最初へ