トップ頁へ ERPの呼称

 心電図J波は, 冬山登山の際の遭難事故時の低体温や脳手術の際の低体温時などのような特殊の場合に見られる異常な心電図波形であると考えられてきた。しかし、この波が正常例の3-5%に認められ、原因不明の心臓性急死の基礎病態として最も頻度が高い特発性心室細動の基質となっている場合があることが知られるようになり、広く循環器専門医の間で急速に注目を集めるようになった。

 古くからQRS波終了直後に振幅が低い結節を認める場合があり、後棘と名付けられ、臨床的には意義がない所見であるとされてきた。Aizawaらは、1993年,なんら基礎疾患を認めない特発性心室細動(idiopathic ventricular fibrillation, IVF) 8例について検討し、内4例では以前の心電図には認められなかったQRS波終末部に振幅の低い結節様の波を認め、心室性期外収縮の代償休止期後のように長いRR間隔の後の心収縮時にはこの波の振幅が増大すると共に、心室細動が出現する所見を認めた。

 この心室早期再分極波は、J波とも呼ばれ、心室再分極期の波であるが、低体温以外にも、肥大型心筋症、スポーツ心、高K血症、QT短縮症候群、その他のいろんな病態で認められる場合があることが知られ、広く関心を集めている。

 以下、このように最近、循環器学領域で広く関心を集めるようになった早期再分極波について、臨床上重要な幾つかの問題点について解説を加えたい。 

早期再分極波の呼称
2 早期再分極波の分類
3 早期再分極波(J波)が出現する諸病態
4 特発性心室細動とJ波
5 早期再分極の臨床的および心電図的特徴
6 不整脈原性右室心筋症とJ波
7 先天性QT短縮症候群とJ波
8 スポーツ心とJ波
9 早期再分極波の成因
10 Brugada症候群とJ波
11 早期再分極波の診断
12 早期再分極の治療
13 早期再分極の予後
14 健診で早期再分極を認めた際の対応
15 日常臨床におけるJ波起因と思われる不整脈

この頁の最初へ