早期再分極波の成因

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  Gussakらは、Brugada症候群および早期再分極の際の心電図変化の成因として、両者を対比して下図のように説明している(Gussak I et al: J Electrocardiol 33(4):299,2000).

Endo:心内膜下筋層細胞活動電位,EPi:心外膜下筋層
細胞活動電位、ECG:心電図、ACh:アセチルコリン

 Bruagada型心電図においては、心外膜下筋層活動電位の持続時間が著明に短縮するが、心内膜下筋層での活動電位持続時間の短縮は著明でないため、心筋層内での電圧勾配が増大し、心電図ではST上昇が著明となる。また、このような心外膜面活動電位持続時間の短縮は、部位により著しく異なるため、心外膜面活動電位持続時間の分散が著明となり、リエントリーが起こり易くなり、心室性不整脈(心室細動)が発生し易くなる。従って、Brugada症候群は不整脈原性が著しく強く、予後重篤な不整脈を起こしやすい。

 他方、早期再分極においては、心外膜下筋層細胞の活動電位のプラトー相が抑制されるが、活動電位持続時間短縮はBrugada症候群のように著明でない。そのため貫壁性電圧増大が生じるが、その程度は軽く、ST上昇度は軽度に止まる。また心外膜面活動電位持続時間の分散も軽度であるため、リエントリー出現の危険性もBrugada症候群よりは軽度に止まり、早期再分極では不整脈原性がBugada症候群よりも少ない

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