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Brugada 症候群、先天性QT延長症候群(LQT3)、Lenegre病との関連
前頁でBrugada症候群が遺伝子SCN5Aの異常により起こる場合があることを述べ、その臨床的意義についての研究を紹介しました。Brugada型心電図、ことにsaddle-back型は、私たちも日常臨床でしばしば経験します。しかし、欧米の報告に見るような濃厚な突然死を示す例が多発する家系を私は経験したことがなく、また、我が国ではそのような例の報告はあまり多くありません。またBrugada症候群の成人での頻度は0.1%, 小児では0.01%と、小児における頻度は成人の1/10前後であることが報告されています。
3歳、男児、頻発する意識喪失発作 | 2歳,女児、頻発する意識喪失発作 |
Antzelevitch,C.,Brugada,P.,et al.:The Brugada Syndrome, Futura, New York, 1999 |
このような例を経験すると、誰しもBrugada症候群における遺伝の関与、および特異的な心電図所見と本症候群との相関に思いを致すと思います。Brugada症候群に遺伝の関与があるとなると、すぐ思い起こすのが先天性QT延長症候群(LQT)です。
LQTには現在8種類あることが明らかにされています。Romano-Ward症候群が6型(LQT1〜LQT6)とJervell-Lange Nielsen症候群が2型(JLN1,
JLN2)で、計8型となります。これらの内、LQT3は Brugada症候群と同じ遺伝子SCN5A の異常により起こることが知られています。
実際、LQT3とBrugada症候群とが同一家系で認められたとの報告や、同一例でLQT3とBrugada症候群の両者の特徴的心電図所見を湿す例などが報告されています。
さらに、このSCN5A遺伝子の異常例では、先天的な心室内興奮伝導障害を示す例があることも報告されています。これは いわゆるLenegre病と呼ばれるものです。私は、従来、Lenegre病というのは、特発性両脚壊死症であると理解していましたが、もっと範囲が広く、先天的に房室伝導障害を起こしたり、先天的に脚ブロックを示す例などを含めた報告が多くあります。
SCN5A遺伝子異常を示す同一家系内にBrugada症候群、先天性QT延長症候群3型 (LQT3)および遺伝性伝導障害(Lenegre病)の単発・多発を多く認めた一家系 |