Brugada症候群12タイトル

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Brugada型心電図を示した縦隔腫瘍例

 Brugada症候群(11)で示した例の心電図は、典型的なBrugada型心電図のcoveed型波形を示していました。しかし、この例をBrugada症候群と診断してはいけません。何故なれば、本例はコンセンサスリポートの除外疾患の1つに該当するからです。

 最近、本例のように、失神病歴、急死家族歴などがなく、明らかな器質的基礎疾患を背景として起こり、基礎疾患の消褪により心電図が正常化する例は、Brugada pheocopyとして、真のBrugada症候群とは区別して考えられるようになりました。本例は正に、そのような1例です。


  下図に本例の縦隔腫瘍摘出手術前および手術後の胸部MRI画像を示します。
Brugada型心電図を示した縦隔腫瘍例のMRI 術後のMRI像
手術前のmri画像 手術後のMRI画像

 上図左の手術前のMRI画像では、胸骨後部に心臓(右室流出路)を圧迫するような形で腫瘍(前縦隔腫瘍)が認められます。 上図右のMRI画像は、この腫瘍の摘出後のMRI画像です。

 Brugada症候群(11)で示したように、初診時(手術前)には典型的なcoved型のBrugada 心電図様所見を示していましたが、手術後には下図に示すように全く正常化し、3年前に記録した心電図と全く同様の所見に復帰しています。

縦隔腫瘍摘出後の心電図
縦隔腫瘍摘出後の心電図

 本例は、縦隔腫瘍により生じたBrugada phenocopyの典型例です。 

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